Q.報酬なしの小さな団体案件で、なぜロゴガイドラインまで作り込んだのか
アイコンを分解して使える設計にした以上、団体側が自分たちで運用できるようルール化することまでが納品物の一部だと考えたから。
このロゴは、7 つのゴミアイコンを単体でも使えるように設計しています(章 2)。ゴミ分別の掲示や協議案内など、ロゴ以外の場面にも流用できるようにするためでした。ただ、それは同時に「デザイナーの手を離れた後、素材がバラバラに使われる」ことを意味します。
団体を運営しているのはデザイナーではないボランティアの方々です。チラシ、会場の掲示、SNS への投稿など、こちらの目の届かないところでロゴが使われていく。そこで色が薄れたり、縦横比が崩れたり、読みにくい背景に置かれたりしないよう、渡す側が事前にルールを決めておく ことが必要だと考え、ロゴガイドラインを作成しました。

ブランドカラーは「紅葉」の 1 色。フルカラー版を原則としつつ、背景とのコントラストが確保できない場合や白黒印刷向けに、ブラック / ホワイトの単色版も用意し、RGB・CMYK・HEX まで数値で規定しました。判断に迷う余地を極力残さないためです。

ロゴの周囲に他要素を置けない保護エリアを、ロゴの高さを基準にした比率で定義しました。あわせて、印刷物は横 25mm 以上、Web は横 84px 以上という最小使用サイズも決めています。「小さすぎて読めない」「他の要素とぶつかって窮屈」といった、素朴だが実際に起きがちな崩れを未然に防ぐためです。


カラー背景や写真の上にロゴを置くケースも想定し、コントラスト比の目安を「3 以上が望ましい、最低でも 2 以上」という数値と、実際の背景色サンプルに対する ○△× の判定で示しました。デザインの専門用語である「コントラスト比」を、数値だけでなく見た目で判断できるようにしています。

変形・回転・エフェクト付与・要素の分解合成・指定外の色・グラデーション・一部欠けなど、9 つの禁止例を実例つきで並べました。ルールを「守ってほしいこと」の羅列ではなく、「やりがちな失敗」の実例で示した方が、デザインの専門知識がない相手にも伝わると考えたためです。

縦組みを基本形としつつ、表示エリアの都合でそれが収まらない場合に限り、横組みやシンボル単体の使用を認めています。「基本形を崩していい条件」まで明文化することで、現場判断での逸脱ではなく、ルールの範囲内での運用にしました。

章 2 で触れた「バラして使えるアイコン設計」の運用ルールもここで固めました。7 つのゴミアイコンをロゴから切り離して単体使用する場合に限り、ブランドカラー・白・黒に加えて、アイコンごとの指定色(RGB / CMYK / HEX)を認めています。
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この案件は無償で、ガイドラインまで求められていたわけでもありません。それでも作り込んだのは、ロゴを「渡して終わり」にすると、良かれと思って作った分解可能な設計が、かえって運用の混乱を招きかねないと考えたからです。デザインの意図を、デザイナーがいない場でも保てる形にして初めて、納品が完了する。派手さのない作業ですが、実務で最初に踏んでおいてよかった工程だと思っています。
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